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知識

ダイブコンピュータにアルゴリズムロックがかかったのはなぜ?

浮上速度に厳しく警告するダイブコンピュータ。その理由は浮上速度違反がもたらす減圧症の高リスクにある

「浅く潜っていたのにロックがかかった。もしやダイブコンピュータの故障?!」 そんな経験はありませんか? 

実はその原因、ほとんどが浮上速度違反です。

ダイブコンピュータはなぜアルゴリズムロックをかけるほど、浮上速度についてあなたに厳しく警告するのでしょうか。

ダイブコンピュータが浮上速度に厳しい理由

減圧症になる要因はみなさんご存知ですよね。 

減圧停止や安全停止の不履行がすぐに挙げられると思いますが、それだけではありません。リスクを高める大きな要因、それは浮上速度違反です。

急浮上が非常に危険であることは周知のことだと思います。
ですがたとえ急浮上でなかったとしても、ダイブコンピュータが指示する速度よりも速く浮上した場合、減圧症の危険性は非常に高まります。

したがってダイブコンピュータは浮上速度について厳しく警告し、それに従わなければアルゴリズムロックをかけるのです。あなたを減圧症から守るために。

それでは、浮上速度違反はどのように減圧症を引き起こすのでしょうか。

それは体内窒素の排出過程にあります。

潜水中に呼吸で吸い込んだ窒素は、水圧によって血液から押し込まれるようにして体の部位に溶け込みます。
浮上する際には周囲の水圧が減少するので、体の奥底に溶け込んでいた窒素はそこよりも窒素の割合が少ない血液へと戻り、その後血液よりもさらに窒素の割合が少ない肺へと到達して、体外へ排出されるという過程を辿ります。

減圧症のリスクを高める浮上速度違反。浮上時、周囲圧の減少によって体の部位に溶け込んでいだ窒素が急激に血液に戻ってくるため、浮上速度を厳守しなければならない。
浮上時、周囲圧の減少により体内の窒素が血液に移動する

では浮上速度が速いとどうなるのでしょうか。
窒素が体の部位から血液を通り、肺で排出されるという循環に間に合わない内に、水圧で押さえつけられていた窒素の体積が、水圧の急激な減少によって急速に増大化、つまり気泡(バブル)となって発生します。発生した気泡は体の部位や毛細血管で止まってしまい、肺へ到達できずに体内に滞ってしまいます。これが減圧症を引き起こすメカニズムです。

浮上速度が速いと周囲圧の急激な減少で窒素の体積が急増し、気泡化して体内に滞ることが減圧症の原因となる
浮上速度が速いと窒素の体積が急増して気泡になり、肺に到達する前に毛細血管などで滞る。これが減圧症を引き起こす

つまり減圧症は、浅場でのダイビングでも十分に起こりうるリスクであり、それには浮上速度が大きく影響しているのです。

なぜアルゴリズムロックがかかるのか?

ダイブコンピュータは、最大浮上速度違反をアラーム音で警告します。そして違反に対して、安全停止時間の延長および安全停止から強制安全停止へ変更し、ダイバーの安全を確保しようとします。ところがダイバーがそれにも従わなかった場合、ダイブコンピュータにアルゴリズムロックがかかります。これはダイブコンピュータが「ダイバーはすでに減圧症のリスクに晒されているため、これ以上安全なダイビングを実施する計算ができない」と判断するからです。

一例として、アルゴリズムロックがかかったダイバーのダイビングログをみてみましょう。

以下のログ1では、浮上速度を指摘するアラームが出された後、ダイバーがそれを正さないうちに5秒が経過しました。そこでダイブコンピュータは安全停止を義務付けた強制安全停止に変更しています。

ダイブコンピュータが記録するダイブログでは、浮上速度違反に対し安全停止を強制安全停止に切り替えを指示している
Log1:1本目で浮上速度違反により強制安全停止 

ログ2でも浮上速度違反により、安全停止が強制安全停止に変更されています。ところがダイバーは減圧停止開始直後にもかかわらず、ダイブコンピュータが指示する速度よりも速く浮上しています。

ダイブコンピュータがダイバーの浮上速度を厳しく警告するダイブログ
Log 2 : 2本目で急潜行と急浮上を起こして強制安全停止

このように浮上速度違反により強制安全停止を指示された後も、何度も浮上速度違反を繰り返したことにより、とうとうアルゴリズムロックがかかってしまいました。

ダイバーが何度も浮上速度違反を繰り返したために、ダイバーはすでに減圧症のリスクに晒されており、これ以上安全なダイビングに対する計算ができないとしてダイブコンピュータにアルゴリズムロックがかかった
浮上速度の違反を繰り返して安全なダイビングの誘導ができなくなって、アルゴリズムロック!

このダイバーは最初、なぜアルゴリズムロックがかかったのかわからずに困惑していました。そしてログを開いて初めて、度重なる浮上速度違反がその原因だと知るのです。

ダイブを振り返り、安全性とスキルを高める

もしあなたのダイブコンピュータにアルゴリズムロックがかかってしまったら、故障を疑う前に一度ダイブコンピュータが示すログを検証してみてください。

最近のダイブコンピュータでは、ワイヤレスでログをスマートフォンに接続し、記録できる機能がついているものもあります。

そうしたログでは、ダイブコンピュータの指示内容と、その時のダイバーの動きを詳細に表示することができます。

自分のダイビングを振り返ることは、今後のダイビングの安全性につながるとともに、ダイバーのスキル向上に役立つ機会となります。

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